2024/05/20 09:25
私たちは、フェミニズムをテーマにしたカフェのオープンを目指して集まったプロジェクト「L'heure Bleue (ルールブルー) 」のメンバーです。
私たちは普段、女性差別をなくし、ジェンダー平等な社会を実現するために様々な活動している中で、「フェミニズムをテーマにしたカフェがあったらいいね」という想いに共感し、2022年12月より、不定期でカフェイベントを開催しています。
今は都内に焙煎所を借り、定期的にカフェイベントができるよう活動しています。
フェミニズムを知らない人も、知っている人も、多くの人が楽しむコーヒー。
美味しいコーヒーを飲みながら、遠くの国のジェンダー平等のこと、そして、自分の周りのジェンダー平等のことを考える。そんなきっかけの1杯になったら…と思っています。
プロジェクト名および店舗名にした「L'heureBleue (ルールブルー)」とは、フランス語で陽が昇る前の青い空のことです。フェミニズムに出会って私たちの人生は大きく変化しましたが、それまでは夜明け前の暗い時間を延々と過ごしていたような気がします。きっとそのような人たちが社会にはまだたくさんいるはずです。
でも、夜明け前まであとほんの一歩。私たちの提供する「居場所」がきっかけでフェミニズムが日常になり、これからの人生が明るくなっていく。そうして夜が明けていくような感覚を体感してほしい。そんな思いを込めました。
私たちのカフェでは、「フェミニズムを日常に」というビジョンのもと、「女性たちが連帯して元気になれる社会の拠点作り」を目指したいと考えています。
具体的には、「まだフェミニズムに出会っていない人がフェミニズムに触れる入り口となるような場所を作りたい」「フェミニズムに関心がある人たちのリアルで安全な居場所を作りたい」という構想です。
提供するコーヒーやスイーツは、味が美味しいのはもちろんのこと、フェミニズムの観点から仕入れ先を厳選し、カフェ営業を通じてジェンダー平等の実現に少しでも貢献しようと考えています。
他にも、このカフェに立ち寄れば、いろいろなフェミニズムの本・写真・アート・音楽・人・・・にも自然と触れられる、そんな場所にしたいです。
①ジェンダー平等に力を入れる農園の豆を届けたい
カフェを開催するにつれ、コーヒーに関して考えることが多くなりました。
まず、国内での話でいうと、コーヒー業界はジェンダーギャップがまだあると焙煎師さんが教えてくださいました。
やはり雑誌の特集やシンポジウムは男性中心。美味しい豆を焙煎する女性もたくさんいるのに・・・
そういった事実から、カフェを開催するときには少しでも力になれたらと思い、女性やトランス女性、ノンバイナリー、Xジェンダーの焙煎師さんの豆をセレクトしようと決めました。これがとっても美味しくて、飲む人みんな口を揃えて「本当においしい」と大好評です。
中には、これまでコーヒーが苦手だったのに私たちのカフェで飲んだコーヒーをきっかけに、豆を自ら購入しに行った方も。
そんな中、焙煎されるその更に前の段階、生の豆のことも調べることとなり、驚きました。コーヒーの生産地では、女性の労働者が多いにもかかわらず、経営に携わるのはほとんどが男性。それは、女性には土地を持つことが許されていないなどの理由があるそうです。どこもかしこも・・・泣
参考記事
いいことずくめ!コーヒー園が「ジェンダー平等」進めて得た「劇的な効果」
引用
"女性の労働時間はとても長いにもかかわらず、コーヒーの価格交渉や販売には関わらないため、収入へのアクセスは男性に限られています。自分の労働対価としての収入がなければ、たとえ女性が家族の食料や衣類などのためにお金が必要であっても、男性からお金をもらうしかないことになります。女性の労働が無償労働という扱いを受け、生活に必要なお金ですら男性から貰わなければならないと、金銭的にも精神的にも男性に依存する関係は解消されず、女性自身も「自分は男性に依存しなければ生きられない存在なのだ」と認識してしまいがちです。"
そんな状況を知り、私たちは生豆の生産者からこだわりたいと思うようになりました。
コーヒー業界は、SDGsに世界各国が注目をし始める前から、生産者の労働環境の改善に力を入れ、品質の向上を考えてきたのだろうな、と色々な方のお話を聞くと感じます。
一方、その中でも日本ではジェンダー平等という観点に関しては、まだ取り組んでいる人達が多いとは言えないと思います。
引用
"日本ではジェンダーギャップへの配慮を付加価値とするコーヒーの流通は、ほとんど見かけないのが現状ですが、SDGsを通じ、自国への啓発も含めて取り組むべき課題と言えるのではないでしょうか? もし実現すれば、生産国と消費国のジェンダーの課題を、コーヒーでつなぐことができるかもしれません。 "
ここはぜひ私たちが!と強く感じました。
そんな中でも、近年ジェンダー平等に力を入れている農園も増えてきているということで、積極的にそのような農園から豆を仕入れて、自分たちで焙煎して、皆さんにお届けするということにもチャレンジしていきたいと考えています。
②様々な被害にあった女性たちが安心して働ける場所を作りたい
もう一つの大きな願いは、「性被害やDV、ハラスメントにより精神的な病気などになってしまい、なかなか社会で働くことができない女性たちの雇用の場を作りたい」ということです。
カフェのメンバーである石川もですが、過去に性被害に遭った影響で、うつ病やPTSD、パニック障害などに悩まされている人をたくさん見てきました。みんな、電車に乗れない・起き上がれない日が多い・人が多い場所に行けない・シフトが組めない等の理由で、「普通に働く」ということが難しく、経済的にとても困窮しています。
NHKの調査によると、性被害に遭った人の半数がPTSDの疑いがあるということ、そして、にもかかわらず実際の治療に繋がれたのは約3.1%だそうです。
性暴力被害者 “半数以上がPTSDの疑い”
https://www.nhk.or.jp/minplus/0026/topic076.html
こんな女性たちが、安心して働ける場所を作りたいと思っています。ありがたいことに、女性の支援に使ってほしいと、格安でスペースを借りることができることになりました。そこに焙煎所を作ることで、いずれ女性たちに自分のペースで働いてもらえるような職場や雇用を生み出したいと考えています。
メンバーを紹介させていただきます。
石川優実
1987年生まれ、愛知県出身。2005年に芸能界入り。
2017年末にグラビアの世界で経験した性暴力を#MeTooし、話題に。それ以降ジェンダー平等を目指し活動。
2019年、職場で女性のみにヒールやパンプスを義務付けることは性差別であるとし、「#KuToo」運動を展開。厚生労働省へ署名を提出し、世界中のニュースで取り上げられる。
2019年10月、英BBCが選ぶ世界の人々に影響を与えた「100 Women」に選出。「2019年新語・流行語大賞トップ10」に#KuTooがノミネート。
2022年2月には映画監督からの性暴力の被害を訴え、日本の映画界の#MeTooが起こるきっかけとなった。著書・・・エッセイ『もう空気なんて読まない(河出書房新社)』
大石涼子
#KuToo運動に賛同し、X(旧Twitter)で発信するなかで石川さんと知り合い、現在ルールブルーのメンバーとして一緒に活動しています。
実際に何度かカフェを営業してみて、「身近にフェミ友がいない」「なかなか政治や社会について話せる人、場所がないので嬉しい」という声を聞き、女性たちが安心して話せる場所が求められていると改めて感じました。
そして同時に、まだフェミニズムに出会っていない人に届けることへの難しさも実感しました。
私自身、家族や友人と話していると、そこでの話題は恋愛や結婚、家事育児、職場でのもやもやなど、フェミニズムに関係することばかりだと日々感じていました。
フェミニズムを知って、抱えている個人的な悩みや違和感が、社会の構造的な問題でもあると気付いてほしい。
性差別や被害を受けたとしても、自分を責めたり、仕方がないことだと諦めたりしないでほしい。
コーヒーという日常的な存在が、日常に潜むあらゆる性差別、被害に気づくきっかけに、フェミカフェが女性同士でゆるくつながっていけるような居場所の1つになってほしい、そう思っています。
最後に、このプロジェクトの中長期的な目標をお伝えします。
まずは、今後も不定期でカフェイベントを開催。併せて、オリジナルのドリップバッグコーヒーやジェンダー平等に貢献する自家焙煎の豆を販売。いずれ、常設の実店舗を開店。各地方にも広める。そして、性暴力やハラスメント・DVなどで働くことができなくなった女性たちの働く場として運営していけたら、と考えています。
沢山の女性が、既に傷つき元気を失っています。もうこれから先の人生、楽しく過ごしてもらいたいと願っています。
美味しいコーヒーを飲んで、無理せず働いて、みんなでおしゃべりして、楽しい時間を過ごしましょう。そうすればきっと、社会を変えるための力だって湧いてくると信じています。
引き続き、温かい支援をどうぞよろしくお願いいたします。
フェミニズムカフェ・ルールブルーメンバー一同